Trick or treat
お菓子くれなきゃ、いたずらするよ?
sweet Halloween
ピッ、ピッ、ピッ・・・・
狭いコクピット内に響く機械的な電子音。
は今、愛機の整備をしていた。
スクリーンからは、忙しく動き回る整備士たちが、そしてその下にある画面からはのOSになる文字が並んでいる。
整備を初めてから結構な時間がたったとき、来客を知らせるアラームがコクピット内に鳴り響いた。
画面を切り替えると、そこには真面目くさった顔をしたアスランがいる。
「FAITHがこんなところでさぼってていいの?」
コクピットからひょっこりと上半身だけ出したは、無重力のためフワフワ浮いているアスランに尋ねる。
「まぁ、のためならな。 それに今回の書類は少なかったから。」
「そうなんだ・・・。ってか、あたしもFAITHなんだよね・・・」
アスランの言ったことは本当は嘘だ。
少なくとも、アスランの書類はの3倍はあった。
「ねぇ、どうかしたの?」
は訝しげにアスランに尋ねた。
いつもとは違い、妙にアスランはそわそわしている。
「いや・・・というか。今日が何の日か知ってるか?」
「何の日って・・・10月31日・・・・・あぁ!!」
「わかった?」
ひらめいたように笑顔になったを見て、アスランもまた笑顔になった。
「アスラン! ト「Trick or treat?」」
「へっ・・・・?」
今日が何の日か思い出したは迷うことなくTrick or treatと言おうとする。
が、しかしそれは不意打ちにもアスランによって遮られ、先に言われてしまった。
「な・・なに??」
「だから、トッリックオアトリート。お菓子くれなきゃいたずらするよ?」
「えっ・・・お菓子とか持ってないし・・・それ以前にアスランって甘いもの苦手じゃなかったの?」
満面の笑みで、手を差し出すアスランに、はなんで?≠ニいう顔で思わず聞き返す。
「苦手だよ。 でも、俺が欲しい甘いのもはこっちだから。」
「・・・ぅわっ!?」
ドスンという鈍い音がし、同時に背中に走るかすかな痛み。
状況を把握しようとしてが目を開けると、見慣れたのコクピットと、ここにいるハズのない人・・・・アスランが何故かいた。
「何してるのよ!!」
「だから、を頂こうかと思って。 コクピットの中って狭くていいじゃないか。」
「よくない!!!! っていうか、なんでボタン外しているの!?」
後ろはシートで、前にはアスラン。
まったくどこにもには逃げ場はなかった。
おまけにアスランは不気味とも取れる笑みを浮かべ、の軍服に手をかけている。
「やめて!!! ここだけはヤメテ!!」
「・・・じゃぁ、俺の部屋で。」
「・・・・えっ?・・・・」
「だって。 ここだけはっていったでしょ?つまりはここでヤらなければいい。そういうこと。」
そうアスランは勝ち誇ったように言うと、
じゃぁ、部屋行こうかv
との手をひっぱって、コクピットから出ようとする。
しかし何を考えたのか、アスランは動きが一瞬止まったかと思ったら、再度はコクピットの中に押し込まれていた。
なにっ!?
といいかけたの唇は、行き成りなんの予告もなしにふってきたアスランの唇と重なる。
驚いたはとっさにアスランから離れようとするが、頭部をがっしりと掴まれている為、逃げ出すおろそか、身動きさえ取れない状況だった。
「・・んっ・・んふ・・・」
が抵抗できないのをいいことに、アスランはどんどん深く求めてくる。
角度をつけ、深く深くなっていったキスはを酸欠状態に追い込んでいった。
もん限界だと思ったは必死で、アスランの胸を押し返す。
「し、死んだら・・・どう・・するのよ・・・」
ようやく開放されたは必死で息を吸いながらとだえとだえに言うが、いつのまにか軍服の襟の開いたところからの鎖骨に赤い花を咲かせ顔をあげたアスランによってみごとに無視された。
「ちょっと!!!見えちゃうじゃない!!!」
アスランが咲かせた赤い花は、襟まできっちり着込んでも見える位置にある。
「いいじゃない。 これで、も誰にも取られないし。」
「冗談じゃない!!!」
「じゃぁ、俺の部屋に行こうか?」
「もう、好きにしてください・・・」
その数分後、整備途中でほったらかしにされたを見て、頭を悩ます整備士たちと、
廊下をものすごく機嫌のいいアスランにひきずられているの姿が目撃されていた。
051026
ハロウィン記念の小説。
微エロ&甘甘をモットーに。