「ゆーびきーりげんまん、嘘ついたら針千本飲ます〜♪」
そう言ってあたしたちは小指を絡ませあった。
『戦争が終わったら、あの場所で会おうね』
戦争と言う中に身をおいていたあたしたちには1つの希望だった。
あれから1年。
戦争は終わりを告げた。
Promise
吐く息は白く、いくら人口統制されたプラントのなかだって寒すぎるくらいだった。
夕日は沈み、星が輝いている街はクリスマスの飾りつけでキラキラと輝き歩く人たちを心なしか明るい気分にさせる。
「・・さむっ・・」
恋人同士がイブの夜をともに過ごそうと連れ立って歩く中、1人早足でその中を通り抜けていく少女の姿があった。
肩より少し長い琥珀色の髪、クリっとしたピンクレッドの瞳の持ち主・は目的の場所らしきイルミネーションを施された時計台の下につくと誰かを待つようにベンチに腰掛けた。
「アスラン・・・」
待ち人・・の名前をはポツリと呟くが、あまりにも小さく儚すぎたその声は人ごみによってかき消されていった。
「ねぇ、アスラン?」
ちょうど1年前のクリスマスイブだった。
アスランとは俗に言う恋人で、それは戦争という状況にあってもかわらなかった。
「なに、?」
12時ピッタリにメリークリスマスと言えるように、アスランの部屋にいたは、めずらしく真剣な口調でアスランに問いかけた。
「お願いがあるんだけど・・・」
「うん。」
「今、あたしたちがしているのは戦争でしょ? あたしたちはいつ死んでも・・・いつ離れ離れになってもおかしくないよね。」
「・・・・」
「そ、そういうことは考えたくないけど、もし、ないとも言い切れないから・・・戦争が終わった年のクリスマスにあの時計台の下で待ってる。」
「・・・わかった。」
そういいきったはなきたいのを必死に堪えているようで、そんなをアスランはそっと抱きしめた。
「約束する。でも、を一人にはさせないから」
「え・・・?」
誰にも聞こえないよう決意したアスランの拳は小さく震えていた。
けれど、運命とは皮肉なものでクライン派の勃発、アスランのザフト脱走などが重なりとアスランはお互いにまったく連絡がつけられないまま戦争は終結してしまった。
そして、お互いの安否もわたらぬまま約束の日が訪れてしまう。
もの思いにふけっていたは手に乗った冷たいものによって現実へと引き戻された。
ふと上を見上げると、パラパラと白い雪が降り始めている。
「雪だ・・・。」
はずれることがないプラントン天気予報では雪が降るのは12月24日の深夜からだ。
時計を見るとあと少しで12時・・・クリスマスになる。
「やっぱ来るはずないかぁ・・・」
少し自称気味に笑うとはベンチから立ち上がった。
そして、天をあおるように再び上を向いたその頬を静かに涙が伝った。
「・・・・アスランのバカ・・・」
「バカは酷すぎない?」
「えっ・・・?」
誰も居るはずの無いその空間に聞こえてきたのは懐かしい、聞き間違うはずの無い声。
「アスラン・・・?」
ゆくっりと振り返ったの目に飛び込んできたのは少し息をきらしながらも優しく微笑むアスランの姿だった。
「ただいま、。」
「アスランッ!!」
反射的にアスランの胸に飛び込んだを、アスランはきつく抱きしめた。
ありったけの思いを込めて、抱きしめ返す。
「覚えてたんだね、約束」
「忘れるはずがないだろ。」
そう言って次から次えと溢れてくるの涙をそっとアスランは拭う。
そして、笑いあった2人に時計台の鐘が鳴り響いた。
「メリークリスマス、。」
「メリークリスマス、アスラン。」
白い雪が妖精のように舞うなか、そっと二人の唇が重なった。
Merry Christmas!
051224