震える手で、差し出した1枚の写真。




そこには、優しく、楽しそうに歌う一人の少女が映っていた。










  
 きみに捧げる鎮魂歌












静まり返った艦内。


みんなうかない顔をして下を向いてる。


コペルニクスから帰ってきて以来この調子だ。


理由はただ一つ。


純粋に夢を追ったピンクの髪の少女が、儚く散ってしまったから。










ミーア・キャンベル










ラクスに憧れていた。


デュランダル議長の計らいによって、ラクスの替え玉となり、プラントを救っていた。


代わりでもいい。


そう言ったミーアは、いつのまにかその名に囚われていた。




もミーアとは知り合いだった。

いきなり抱きついたりして困ったときも会ったが、本当は純粋な少女だった。




「そんな、顔しないでよ。アスラン」




は隣に座っているアスランに声をかける。


しかし、行動とは裏腹にの瞳にも、微かに雫が宿っていた。







「ごめん・・・・ね・・・」


そう言って、その短かすぎる生涯を閉じたミーア。

その瞬間、彼女は何を思っただろう。


夢に向かって歩んでいた。

もし、それが間違っていても、






誰もあなたを忘れはしない。








「彼女は、ミーアは幸せだったと思う?」


「・・・・なんで・・・・・・」



驚愕の入り混じった顔でのことを見るアスラン。




「私は、幸せだったと思う。」


「・・・・夢・・・だったから?」


「きっとね。」








息を引き取る寸前。






「わたしの歌・・・いのち・・・どうか・・・・・・わすれないで」







途切れ途切れに精一杯紡がれた言葉と1枚の写真。


そばかすが特徴てきな黒髪の少女が笑っていた。



「明るい・・・優しお顔ですわ。これがあなた?」



そう、ラクスが腕の中に横たわるミーアに尋ねると、彼女は微笑みながらうなずいた。


ラクスにあこがれて、ラクスになりたかったのに・・・・・




どうして?




「ミーアは、ミーアになりたかったんだよ。」


「・・・・えっ・・・?」


「ミーア・キャンベルとして歌いたかった。だから最後にあの写真を渡したんだよ。」





全てミーアだった。


ザクの上で歌うラクスも。


ステージの上で楽しそうに歌うラクスも。




「みんな、ミーアなんだよ。」




「幸せ・・・だったのかな?」


アスランがぽつりと呟く。



「幸せだよ。 歌っていたもの。」





歌うこと・・・・・・・・・それが彼女の夢。





「元気になった?」


「少しは・・かな。」


「彼女を忘れない」


「・・・えっ・・・?」


「この先なにがあっても、ミーアを忘れない。忘れてはいけないから・・・」


「そうだな。」













忘れないよ。



偽者のラクスでも・・・



貴方はミーア・キャンベル。



あなたは確かに「歌っていた」のだから。




あなたの歌。


あなたの命。




忘れないから。












星の降る場所で  貴方が笑っていることを

いつも願ってた  今遠くてもまた会えるよね


















050904
本編に46話「真実の歌」より。

ミーアへの追悼として、フリー夢にします。

ミーアの死はすごく悲しかったです。半泣きでした。

どうか、安らかに眠ってください。