twelve














「待って!!、待ってよ、キラ!!」

「・・・



あの後、不意に教室を出て行ってしまったキラを無意識のうちに追いかけていた。

キラが歩くのは予想以上に早くて。

追いついたときには、彼は既に人気の無い屋上へと続く階段の踊り場だった。



「どうしたの、?」



優しく、いつもの口調でキラは息を乱しているに問いかける。

それは牽制。

壊したくないから。

幼馴染で留まっていられるようにする魔法。



「私たちってさ・・・・、やっぱり、幼馴染、なんだよね?」

「・・・・そう・・・だね・・・」

「そうだよね。私ったら一体何言ってるんだろう。」

「・・・・・・?」





ねぇ、キラ。

私は今、ちゃんと笑っている?

小さい頃みたいに、一緒に遊んで、一緒に昼寝して、一緒に笑って、一緒に泣いて。

ちゃんと、その頃みたいにキラに笑えているかな?



もう、戻れない。

この気持ちに気付いてしまった今、もうあの頃に戻ることは出来ないのかもしれない。



「キラ・・・・私ね、ずっとキラの事好きだったよ。幼馴染としてじゃなくて、キラという人に対して。」

「・・・それはっ・・・」

「だから、もう私に優しくしないで・・・。わかってた、キラが私の事幼馴染としか見て無いことも。」

「・・・」

「本当はね、ずっとキラの隣に居られればそれでよかった、例えそれが幼馴染だったとしても。でも、キラが優しくするから、キラが抱きしめたりするから。私は自分の気持ちに気付いちゃった・・・」

「・・・・」



キラはただを見つめたまま動かなかった。

結果なんてわかっていた。

私に一握りの望も希望も無いことを。

キラの心に"幼馴染"としてでしか自分が入る隙間が無いことも。




それでも。

ほんの少しでいいから、ただ一人の""としてキラの瞳に映りたかった・・・





、僕は・・・」

「ごめんね、キラ。困らせるような事ばっかり言って。忘れていいから、今の事は。」

「待って、っ!!」



拒絶の言葉なんて聴きたくなかった。

自分の我侭だとわかっていても、キラから拒絶の言葉を聴くなんて出来るはずか無かった。

付き先程までは自分がキラを追いかけていたのに。

今はキラが自分を追いかけてくる。



「ごめんね、ごめんね・・・」



それだけ、声とも息ともつかないが唇をついてただ止まる事はない。

しだいに2人分だった足音は遠ざかり、自分の足音だけが廊下に響いていた。

どうやら昼休みはもう終わったみたいで、廊下には誰もいなかった。

世界中で一人ぼっちになった気分だった。



「・・・っ、・・・キラぁっ・・・・」



涙は今までの哀しみの分まで流れているようで。

止まることは無かった。




070404