seven
「こうやって歩くのも久しぶりだね。」
「うん、そうだね。」
あまり人のいない静かな道。
学校前の大通りより少し奥に入った道はキラのお勧めの場所だった。
「こっちの学校にも慣れた??」
「うん。みんな親切だから・・・」
「って誰と一緒にいるんだっけ?」
「大体はカガリとかミーアとかかなぁ。」
あの二人ならね、と他愛もない話をしながら歩く。
それでもキラはまっすぐ前を見詰めていた。
あたしはそれが何故か怖くて、キラの瞳に映されていない自分を認めるのが嫌で周りの景色を眺めているように振舞った。
どうしてキラは、あたしと一緒に帰ろうと思ったのだろう。
その意味が、まったく掴めない。
「は、ここに帰ってこれてよかったって思う?」
「突然・・・どうしたの??」
「いや、ちょっと思っただけ。」
「・・・よかったよ、こうしてまたキラにも会えたし。」
それは、嘘では無い。
確かにキラに会いたいとは思っていた。
でもそれは一緒に育ってきた幼馴染だから、
一緒にいるのがあたり前だったから、
会いたいと強く願っていたのだと考えていた。
「僕も。まさかこんな偶然があるなんてね。」
「うん。」
でも、どうしてなんだろう。
こうして幼馴染としてでなく、もっと違う立場でキラの隣に立ちたいと願っている自分がいる。
あたしはキラの事が・・・・・
「・・・??」
「あっ、何!?」
「なんか上の空だったから、どうかした?」
「いや、ただ始めて歩いた道だから・・・」
なんでもないよ、あたしはそう言って笑顔を見せた。
幼馴染、なんだから。
「ねえ、・・・。覚えてる?」
「えっ、何を?」
それは唐突だった。
トクン、と心臓が大きく跳ねたのがわかる。
もしかしてあの約束を・・・・・
「・・・・あっ、やっぱ何でもないや。ごめん、気にしないで!!」
「そんなこと言われても・・・、気になるよ・・・」
「本当に・・・大したことじゃないから・・・」
「そっか・・・」
どうして、どうして僕は言わなかったのだろうか。
忘れてられているのが怖かった。
12年前の約束。
あんな子供だましの約束。
ごめんね、。
君にそんな哀しい顔させているのは僕のせい?
僕が君を傷つけてるの?
ねぇ、・・・・
こっちを向いてよ・・・
061211