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「ちょっと、シン! 人の話は最後まで聞きなさい!!」

「えっ、あ、ゴメン・・・」



あの花屋の女の子、という子に見とれていたシンはルナマリアに小突かれ我に返る。



「知り合いなの?と。」

「知り合いっていうか、知ってるっていうか、なんというか・・・」



そう曖昧に答えるシンをルナマリアは不思議そうに一瞥すると、まぁいいわ、と呟き次の行動へと身を移す。



!!ちょっとこっち来てくれない??」

「あ、ルナ!!ちょと待て!」



隣であせるシンをよそにルナマリアは階下でしゃべっているを大声で呼んだ。

不思議そうには二階を見つめる。

視線が二人のいる二階へと集中した。



「まぁ事情はあとでレイにでも聞いとくわ。あっ、!!こっち。」



ねっ、と後ろにいるレイに言うと、階段からひょこっと顔を覗かせたに手を振った。



「先輩、少し静かにしないと・・・。あたし達めだってますよ。」

「少しくらい平気よ。青蘭なんだから。 それより、ほらっ。」



怪訝そうなの言葉をスルリと交わすと、半ば無理やりに、ヨウランの後ろに隠れていたシンを前に押し出した。




感動の再開・・・のはず




「えっ、その・・・」



何を言っていいのかわからず、ズボンで必死になって手の汗をぬぐるシンと、状況が理解できていないような顔をしたの間に長い沈黙が流れた。

一瞬体育館が静まり返った気がした。

覚えてない―――最悪のシナリオが頭を過ぎる・・・





「あっ、この間お店に来てくれた人・・・?」





小さな声で、語尾にたくさん不安を詰め込んでの口が開いた。

微かに小首をかしげている。



「お、覚えていれくれたんですね!!」

「やっぱりそうだったんですね。」



嬉しさでシンが笑い、それにつられても笑顔になる。

思わず周りで見ていたルナマリアたちにも笑顔が戻った。



「シンです。シン・アスカ。よかったらシンって呼んでください。」

「シン・・・ですね。あたしは・ヤマトです。よかったらって呼んでくださいね。」



試合中のコートでシュートが入ったのだろうか。

大きな歓声が聞こえてきた。



「なんだよ、シン! お前の言ってた子ってこんなに可愛かったわけ?」

「あぁ。俺も想定外だった・・・」



思わず身を乗り出して言ったヨウランの言葉に静かにレイも同意する。



「それにしてももよく覚えていたわね。」

「そうですね。というかあの日私初めて一人でお店に出たんです。そこに一番初めに来たのがシンでよく覚えていました。」



いろんな意味で、と小さくは付け加える。

の一言でシンが少し俯き、ヨウランが声にならない笑いで爆笑した。



「そういえば、凄い声がしない?」

「確かに・・・。何でしょうね・・・」


一際大きな歓声が体育館の中を響きわたり、皆の視線はその先に集中した。

どうやらまた、新たな試合が始まるらしい。



「あれって、俺たちの学校じゃない?」

「えっ!?」



思わず柵から身を乗り出してシンは一階のコートを凝視する。



「やばいよ。忘れてました、じゃ通用しないって!!」

「早く行かなくちゃ!」



そう言ってレイとヨウランは走り出す。



「何してるんだよ、シン!!早くしろって。」


「今行く!! あっ、よかったら俺たちの試合、見てくださいね。」



そうシンはとルナマリアに言い残して走り出した。

昨日よりも、一昨日よりも、遥かに軽い足取りで。



060630