いつか、この想いを告げられたら。
ただ、それだけで良いと。
最初はただ、そう思っていた。
voice is delivered
アスランと初めて出会ったのは、ザフトのアスラン・ザラとしててではなく。
戦争を終わらせる為にキラと共に戦う戦士として、アークエンジェルで。
そんな姿に、恋をした。
戦時中なこともあって言い出せず、そして、彼はまたザフトへ戻った。
その後に会ったのは、ザフトのアスラン・ザラとして。
愛よりも苦しいものがあった。
認め合うことが。
理解することが。
納得することが出来ず。
彼はまた戻ったのだ。信じるものが違った。
相変わらず眉間にしわを寄せて怒って。
そしてどこか少し寂しそうな姿。
それが最後になるんじゃないかと不安で。
もう笑って「アスラン」と気安く呼べなくなるんじゃないかと不安だった。
だけど、募る気持ち以上に距離は大きく、
けれどどうにも出来ない。
「…、っていうのか。俺は・・・」
「アスラン・ザラ、でしょ?知らない筈ないよ」
「そ、そうか」
「アスランって本当は良い人なんだね」
「どう思ってたんだ?」
「んー…?ザフトの人っていうか…信用出来なかった」
「・・・・・悪かったな」
「え!?今は違う!!アスランは?」
「・・・しっかりしてて行動力ある子」
「嘘つかないでよ!!」
「ついてない!!」
「じゃあこれからはアスランのこと、信じるよ?」
「ああ。俺もの事信じる」
「その…アスランは私の事…信じてくれる…?」
昔に想いを馳せる。
寂し気な夜に。
またアスランに会えるなんて、思いもしなかった。
アスランはザフトから脱走。
怪我をしているけれど命に別状は無し。
ただ、嬉しかった。
ザフトから脱走したことじゃなくて。
アークエンジェルに来たことよりも。
また会えるのが愛おしかった。
「アスラン…!!」
包帯が巻かれ、痛々しいアスランを見て胸が痛くなる。
「……め…ん」
必死に声を振り絞って謝るアスランにまた胸が痛む。
謝らなくていいのに。
「いいから…。今は、休んでて」
目頭が熱い。
ぼやけて何も見えない。
夜だからまた明日、と言って部屋を出た。
そして溜まっていた涙が溢れた。
*
翌日。
鏡の前で目が腫れていないことを確認し、アスランに会いに行った。
「おはよう、アスラン」
寝起きなのか、まだボーっとしているアスラン。
まだ包帯は外せず、立ち上がれずに横になっている。
「おはよ…。夢を見てた…」
具合悪いのに夢が見れるなんて精神状態も回復した。
…と思った。
「へぇ、どんな?」
「・・・・・綺麗なお花畑…?」
アスランが言うのは紛れもなく…
あの世、だ。
夢でも縁起でもない。
「そういうこと言わないでって言ってるでしょ!」
“信じること”
“信じてもらうこと”
どちらも難しいことだ。
「起きる?」
「…ああ…」
何が自分にとって正しいのか。
正しいことは何なのか。
見極めるのも。
精一杯起き上がり、なるべくに負担をかけない様に起き上がった。
細い体に、強い意志を持って行動する君が。ずっと前から好きだった。
その思いはしまったままで。
“信じられるのは幸福”で
“信じてもらうのも幸福”
「やっと…また会えたな」
だからこそ、俺は―――…。
少しぎこちなく、けれど優しく抱きしめる。
「。前に会った時は、正直キラやお前達のことわからなくなったけど…
でも・・・」
アスランは私の事…信じてくれる…?
「心の奥では、のこと信じて。好きだった。きっと…絶対」
そしてこれからも、ずっと。
尚一層、強く抱きしめた。
もう離さない様。
私達の恋はあの時からもう始まっていた。
星屑と幻想のアリアの中、
あの時も 今も
私の 俺の
心は 惹かれていたのだから。
「愛してるよ」
その言葉の意味も、重さも、深さも、
全て理解した上で、君にそう告げる
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キリリクで白眉様から頂いたモノです。
こんなに素晴らしい小説、ありがとうございます!!!
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voice is delivered = 声よ届け