巡り巡って、
僕らは恋人同士となった。
Four Seasons 〜波の間〜
「アスラン、早くっ!」
「そんなにはしゃぐと転ぶぞ」
季節は夏。
雲一つない空の下、海の浅瀬ではしゃぐを見てアスランは微笑んだ。
風との動きの同調して揺れながらフワフワしている服と髪は、いつの日か桜の木の下で見た妖精の様な姿とはまた違った華やかさを出していた。
「あっ! 貝殻。」
まるで初めて海を見た子供のようにはしゃぐは、何かを見つけるたびに一つずつ拾っていた。
水につきそうでつかないスカートは先のほうがかすかに色が濃くなっている。
そんなの姿を独占できるのも、あまり人には知られて無いこの場所のおかげだった。。
「見て!!この貝殻。 すごっく白くない?」
そう軽く水しぶきをあげ、振り向いたは波打ち際のギリギリのところに立っているアスランに見えるように高々と手を挙げた。
純白にかすかなピンクをさした貝殻は、太陽の光で水が反射しキラキラと輝いている。
「そんなものもあるんだ。」
「あっちの方にもありそうじゃない?」
思わず感心したアスランをよそに、は言うがはやく一目散に沖の方へと走り出した。
「アスランもおいでよ!」
「前向いて走らないと転ぶって!・・・って転んでるし・・・」
バシャンという水音とともに、波に足を捕らえれたはみごとに海の中へと消えていった。
「大丈夫、?」
しかもいくらアスランが呼びかけても一向に海の中から姿を見せず、辺りには波の音だけが響いている。
さすがに心配になったアスランは、が転んだ場所へと駆け寄った。
「・・・?」
「・・・・・あっ、アスラン!」
恐る恐る名前を呼んだアスランを背後から襲ったのは、大量の水しぶきと、愛らしく憎めない声だった。
「! どこにいたんだ!?」
びしょびしょになってしまった服を一別すると同じくびしょ濡れになっているに、アスランは問いかける。
「あ、ゴメンね。 海の中でコレ見つけたからさ。」
そう言ってが差し出した手のひらに乗っていたのは先ほどと少し似ているが何処か違う貝殻だった。
そんなを見ておもわず出たのは安堵のため息だった。
「心配したんだぞ? でもよかった。」
「ごめんなさい。 とういうかびしょびしょだね、アスラン?」
それは反則だろ?という笑顔でいたずらっぽく笑うに不覚にも自分もつられてアスランも思わず笑顔になる。
「もういいよ、服なんて。」
それだけアスランは言うと、静かにを抱き寄せた。
「アスラン?」
「暖かいからしばらくこのままね。」
「・・・ちょっとだけだよ。」
静かにはアスランの体を預けた。
一つ、季節が巡るたびに、
僕たちに絆は強くなっていく。
060118