あなたは・・・



信じますか?







                   Do you blieve ?









それはいつもと変わりない一日になるはずだった。

「「・・・嘘・・・」」

そう言ってミネルバの休憩室の前に力なく座りこむシンとアスランがいた。

FAITHのアスラン・ザラ
ミネルバのエース、シン・アスカは今、まさに、絶望の淵に立っているようだった。

何故、二人がこうなったかという原因は数十分前にさかのぼる。














































「・・・キャァー、愛称抜群だって!お姉ちゃん。」

「うそでしょっ!!ありえない!!」

「これ、かなり当たるね・・・」



これといって得にやることもなく、誰かいないかと通路を歩いていたシンは談話室の前で立ち止まる。

中から聞こえるのは不可解な単語ばかり。

多分中にいるのは、この女性のすくない艦の中で特に仲がいいとルナマリアとメイリンだろう。

いったい何が愛称抜群なのか、何がかなり当たるのか、気になったシンは中に入ろうと扉に近づく。








しかし・・・・








「うわぁ・・・!とシンの愛称70%だって!超以外!」



「ちょっと、メイリン!何勝手に・・・」



と自分の名前が急に聞こえてきたため、扉のセンサーが感知するギリギリでシンは出しかけた足をひっこめた。

そして壁を背に鼓動が煩い心臓を平常に戻そうとしながら、先ほど中から聞こえた会話を思い返す。



『俺とさんの愛称は70%かぁ・・・』



自分としては、特別を好きという訳ではないが、容姿端麗・成績優秀でFAITHのとの愛称が70%と言われ、うれしくない人はこの世に存在しないと思う。



「シン、一人で何か考えて笑っているのはかまはないが、通路ではやめた方がいいと思うぞ。」

「・・・えっ・・うわぁ・・!!」

「まさか、俺ののことなんか考えていないよな?」



そう言って、弱点を掴んだといわんばかりの黒い笑みで近づいてきたのはもう一人のFATH、アスランだった。



「ま、まさか・・・。それより隊長はこんなところで何をしているんですか?」


話題をそらそうと冷や汗をかきながら必死になるシンに対し、アスランは全て知っているというように風に黒いオーラを放つ。

「まぁいいだろ。俺はただを探しにきたんだ、仕事をほっぽりだしていなくなるから。」





何故仕事のことを強調するのかシンはわからなかったが、さいほどのことを思い出し今にも談話室に入ろうとするアスランの腕を掴む。


「なんだ、シン?見られてはまずいものでもあるのか?」

「ど、どうして知って・・・ って、いいから外から中の会話を聞いてみてくださいよ。おもしろいですよ。」



アスランは訝しげにシンを見るが、シンがどうしてもというような目線で訴えてくるので渋々シンにならう。

シンとアスラン。二人そろって壁に方耳を当てているのだからなんとも怪しい光景だった。













「メイリンとレイは・・・55%だって。」

「えぇ・・・けっこうショック。」

「まぁ、信じるか信じないかは人それぞれだから。」

!! と隊長の愛称95%ですよ!!ベストカップルですね!」

「ルナっ!いつのまに!///」

顔、真っ赤」

「かわいい!!やっぱ、隊長と・・・」

「違うッ!!!」






















「95%だって」



そう言って勝ち誇った笑みをアスランはシンに向けた。



「シンは、何%?」

「70%で・・・・あぁ!!」



見事にアスランの作戦に嵌ったシンは思わず、先程聞いてしまった自分との愛称を言ってしまう。

恐る恐るアスランの顔を見ると、案の定あのムカつく笑みをシンに嫌味たっぷりに向けたまま、壁に耳を当てていた。




しかし、壁に耳を当てたまま動こうとはしないアスランの顔がしだいに青ざめていくのがわかった。

流石におかしいと思ったシンもそっと壁に耳を当てる。

そして中から聞こえてきたのは衝撃的な事実だった。













「アスランとシンの愛称、100%だって!!!」













二人は思わず顔を見合わせた。

中からは二人の気も知らずに軽快な笑い声が響いている。
















そして今に至る。





「100%か」


そう小さくつぶやくようにアスランが言った。



「俺は男との愛称が100%と言われて喜ぶような感情は残念ながら持ち合わせていないな。」

「俺もです。それに、信じるか信じないかは人それぞれですから」



さきほどが言っていた台詞を思い出したので言ってみる。

二人は力無く顔を見合わせて笑った。

天敵同士だった二人が少しだけ、和解した瞬間だった。